香港~香港は今日も雨~

2006年9月12日

けたたましく鳴り響く重機の音で目が覚めるとまだ10時だった。 


ここ重慶マンションの目の前のブロックで、ビル群の再開発が行われているため、重機の轟音はいい目覚まし代わりになる。 


起きて歯を磨き顔を洗い、コーヒーとタバコを買いにマンションの1Fに降りる。群れをなす黒人を書き分け、小さな商店で買い物を済ませる。マンションの広いエントランスから、今日の空模様をうかがい、奇妙な事に顔なじみになってしまった警備員と挨拶をする。 



宿のある16Fに戻り、TVを見て新聞を読んで、目覚めの一服をゆっくりと味わう。 



「今日は何をしようかな。」 


それを考えてるだけでも、小一時間過ぎていく。 



香港に着いてから歩き通しの毎日で、少し疲れを感じていたので、昨日は宿のそばの九龍公園でのんびりしてみようと思った。 


九龍公園はプールや鳥類のみの動物園、小さな規模だが香港考古学博物館のような施設もあるよく整備されたきれいな公園だった。 


公園の一角に、中国風の東屋が立つエリアがあって、そこではいたるところで老人たちが将棋をしていた。もちろん中国将棋である。 


日本によくある木製の将棋盤でなく、薄っぺらい紙が将棋盤なので、どこでも将棋が出来るようだ。東屋の基礎の上に紙を敷いたり、石畳に直接敷いていたり。 


辺りを見回すと、石製のテーブルと椅子のある場所に、かなりの見物客がいた。 


気になって覗いて見ると、公園に設置され石製のそのテーブルに、将棋盤のマス目が直接彫り込んであるではないか。使っていないほかのテーブルも確認すると、同じように彫り込んである。将棋のためにもともと公園が設置したものらしい。これには驚いた。 


熱心な一組の一戦を長い時間見ていると、将棋を指している老人から話しかけられた。何を言ってるのかわからないので、「僕は日本人なんだよ。」と、覚えたての広東語で言ってみると、「あぁ、そうだったのか」というようなリアクションをして、また将棋を指し始めた。 


九竜将棋センターを離れ、博物館へ行ってみたり、噴水を眺めたり。そうこうしているうちに日も暮れ始め小雨が降ってきたので宿へ帰った。 


宿に帰るとTVコーナーには長老の友達のおばさんがいたので、なんとなくおしゃべり。彼女は台湾生まれで、上海に住んでいるらしい。家族が香港に住んでいるので、数日間滞在してるようだ。 


「あなたはどこへ行くつもりなの?」 

そう聞かれて、特にしっかりは決めていないが中国へ入り、ベトナムに行こうかと思う。そう答えた。 


彼女はただのおばさんに見えたが、彼女もまた旅を愛する人であり、ベトナムに行くくらいなら中国の昆明からチベット、そしてネパールからインドへ行ってみてはどうか?私はそのルートで旅をしたが、とてもとても素晴らしいものだ。ベトナムなんて面白くないわ、そう言って一緒に世界地図を眺めたりした。 


夜も更け、宿の従業員たちが飲み始めたビールを見ていると自分も飲みたくなり、近所の7-11へ。そこでは寒いくらい冷房が効いていて、黒人たちが店内でタバコを吸い、ビールを飲みながら涼んでいる。 


チンタオビールの会社の作る廉価版のビールが大瓶2本で200円程度、カップラーメンも2個で100円程度。それらを買い込んで宿に戻る。 


食の有名な香港でカップラーメンをすすり、ビールを飲む。格安で済ませた夕飯だけど、なんだかとてもいい気分になった。 


ムスタファは次の日のフライトで出るらしく、シングルルームに拠を移し、昼間はインドネシア人の彼女としけこんでいたりしていた。しかし夜はする事も無いらしく、いつものように俺とくだらないおしゃべりを始めた。 


ビールでほろ酔いになりながら、みんなの会話をBGMにTVを見ているとムスターファが、 


「ケウスケ~。吸うか?」 


と言って来た。ほどなくして俺たちはムスタファのシングルルームで長いキセルで煙を吸い込み、レゲエを聴いていた。二人とも気づくとぼっこし。長い手足をだらしなくぶらつかせている彼は、子供みたいな表情で音楽に耳を傾けてる。 


彼は雑誌を僕に手渡し、読むように薦めてきた。二人して無言でHIP-HOPの雑誌を眺める事30分、このまま寝てしまいそうだったので、TVコーナーへ行きタバコを吸った。 



マンチーな感覚は万国共通。ムスターファは腹が減ったから、買い物に言ってくる、と言い残し階下へと向かっていった。 


俺は部屋に戻り、乾ききった喉を潤すべくミネラルウォーターを流し込んみ、眠りについた。 



目が覚めるとまだ10時だった。そろそろ香港を離れてみようか、そう思いながら目やにのついた目で中国地図を眺め、重く動きの悪い窓を開け空を見上げた。 



香港は今日も雨。

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