5日だけのベリーズ滞在~ベリーズ~


5日しかいなかった国と言うのも旅の中では珍しいかもしれない。もちろん飛行機の乗り継ぎなどで数時間しか居なかった国もあるのだが。

グアテマラ・ティカル遺跡を見学した後に僕はベリーズへと向かった。

ティカル遺跡に一緒に行った友人も僕と同じような方向へ向かうと言う事だったので、一緒にベリーズの国境を越え4泊5日の短いベリーズの旅を共にした。

グアテマラのフローレスの街からミニバスに乗ってベリーズとの国境の街メンチョル・デ・メンコスまで行き、そこから徒歩でベリーズ側に入った。

アメリカ、メキシコ、グアテマラと国境を越えて南下するたびに国力が落ちていくのを感じたものだが、ベリーズでもそれを感じる事になった。

国境を越えタクシーを拾いバスターミナルへと向かったのだが、到着した場所はバスターミナルと呼べるような代物ではなく、食べ物を扱う露店も何もない「ただの広場」だった。

目の下に涙の入れ墨を入れた運転手がハンドルを握るバスに乗り込み、サン・イグナシオと言う街に向かった。

車窓から初めて来たベリーズの国に目をやる。石造りやレンガで作った家々が多かったグアテマラに対して、ベリーズは木造の家が多い。熱い国だからか、木造の方が風通しが良くて過ごしやすいのかもしれない。

「ウエスタン・ハイウェイ」と立派な名の付いた田舎の一本道を、客を乗せては降ろしを繰り返しながらバスは進んだ。

サン・イグナシオの街へ入り、予約を入れておいたホテルにほど近い場所でバスを降りる事にした。

初めて訪れる国の空気を堪能しながらホテルへと歩いた。中米では珍しく公用語が英語になり、肌の黒い人の姿も多い。

小学校のような場所の横を通り過ぎた時に興味深かったのは、子供たちがしっかりした制服を着ている事だった。メキシコやグアテマラで小学生位の子供が制服を着ている姿はあまり見かけなかった事もあって、それがとても印象的だったのだ。

ベリーズ滞在中、メキシコやグアテマラで見かけた靴磨きや物売りをする子供の姿を見かける事がほとんどなかったように思う。所変われば子供への扱いも変わってくるのだろうか。

3泊したサン・イグナシオで僕は1日だけ遠出をして観光をする事にした。

友人は動物園に行き、僕は別の国立公園へ足を運んだ。サン・イグナシオからバスに揺られて

いる間、「爺さんは柴刈りへ、婆さんは洗濯へ…」と桃太郎の始まりを思い出してしまった。

サン・イグナシオから首都のベルモパンへ行き、そこでバスを乗り換えブルーホールナショナルパークと呼ばれる国立公園にたどり着いた。乗り換えの地、ベルモパンのバスターミナルはいくらかバスターミナルらしくなったが、メキシコの田舎町のターミナルほどの物だった。こんなに首都らしさのない国は初めてな気がした。

国立公園の目玉は洞窟とブルーホールと呼ばれる池。ベリーズのブルーホールと言うと海にぽっかり空いた深い青が印象的なスポットだが、この国立公園にも同じ名前の池があった。

まずはグアテマラのレイ・マルコスではまった洞窟探検へ向かった。

公園のエントランスから緑が気持ち良い道をいくらか歩くと洞窟の入り口に到着した。

魔物が口を開いているようにも思える、不思議な形の鍾乳石が垂れ下がる洞窟の入り口。

ガイドを従えた観光客がちょうど洞窟探検を終えて出てきた。国立公園の入場料の他にオプションの料金を支払うと、洞窟内の川下りや深部まで行くことが出来るミニツアーがあると言う事だ。

そのガイドにヘッドライトを持っているのかを問われ、持っている事を伝えると気を付けて行くように、と言われた。入り口の階段を降りるとなぜそれを問われたのかがすぐに分かった。

ちんけなヘッドライトでは電池を新しいものに変えないと役に立たないほど暗く、スマホのライトを照らして歩くのが躊躇われるほど足元が滑りやすかったのだ。洞窟の内部が暗いのは日の光が差さない場所だから当然なんだけども。

ガイドなしでも行くことが出来るポイントまではあっという間に着いてしまった。

ちょっと物足りなさを感じて入り口まで戻ったが、洞窟の中から見上げる入り口はとても神秘的で美しいものだった。

洞窟からでて煙草を一服し、園内の反対側にあるブルーホールへ向かった。晴天の空から降り注ぐ日差しは強烈で、少し歩いただけで汗が噴き出してきた。

肌を伝う汗を感じつつ歩みを進めると、木陰になるジャングル中の道へやってきた。

日陰になり暑さから解放されたかと思ったら、風も無く湿度も高く汗を流しながら進むことになった。

少し前まで昆虫など興味が無かったのだけど、グアテマラで仲良くなった虫好きの友人の影響のせいか歩きながら虫の姿を探してみた。気にしてみると色々と目にする事が出来るもので、「ジンガサハムシ」と呼ばれる綺麗な虫と出会う事も出来た。

さらには数日前に雨でも降ったのだろうか遊歩道はぬかるんでいて、大した距離を歩いていないのにブルーホールに着く頃にはかなりぐったりしてしまった。

その名前からかなり期待していたブルーホールはちょうど雲に光を遮られてしまったせいか、ちょっと残念な光景だった。

汗だくでへとへとになっていたので、誰も居ないブルーホールに飛び込んだ。ブルーホールの景観よりも、火照った体をクールダウンしてくれた水の気持ちよさの方が強く印象に残る事になった瞬間だった。

翌日はサン・イグナシオでのんびり過ごしてベリーズ滞在4泊目にベリーズシティへと向かった。

バスターミナル付近は治安が悪いと言う事もあってタクシーで宿へ向かった。

宿でチェックインを済ませて荷物を降ろし友人と街を散策した。

なんだか寂しげと言うか荒んだというか、個人的にはあまり雰囲気が良くない街に思えた。窓ガラスが割られ放置された建物の姿も多く見かけたし、人と人との距離感もあまりよく掴めなかった。

海沿いにある「BELIZE」のサインの前で野良犬が何も気にせず昼寝をしている姿を見て随分とさびれた場所へ来たな、と思ってしまった。

その晩、翌日には別れてしまう友人と最後の晩餐と言う事で街はずれにある日本食レストランへ行く事にした。薄暗い街でタクシーを捕まえて。

まずは餃子とビール。この時点で中華料理屋で一杯やるような幸せな気分になり、さらにメインのかつ丼を食べて腹よりも心が目いっぱいに満たされた。

何日か滞在すればもう少しこの国の事が分かるかもしれない、そう思ったけれども物価の高さが悩みの種だった。

ベリーズシティから北上すればキーカーカーなどの海が素晴らしいと聞くベリーズだったけれど、日々減りゆく銀行口座の残高を眺めているとそこへ行く気にもならず、物価の安いメキシコへ戻る事にした。

ただ通り抜けた国になってしまった感の否めないベリーズ、もし次があるなら美しい海のある島々へ足を運んでみたい。2度目なんてあるかは分からないのだけれど。


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