ベトナム~前へ~

2006年11月22日


特に見所があるわけでもないニャチャンの町に思いがけず長居してしまった。

シャワー・トイレ付のシングルの宿が3ドルで泊まれた事が大きいのかもしれない。
アットホームな宿で、フロントは宿の家族たちの居間も兼ねていて、外に出かけた帰りは自分の家に戻ったような感覚に陥る。 

特に見に行ったりする物もなくなり、毎朝海で泳いで日焼けをしたり、夕方涼しくなってからスーパーへ買い物しにいったり。する事が無くなれば本を読み、さらにする事が無くなれば海を見に行く。

 海を見ていると、自然と色々な事を考え出す。 何かを見に行く為に始めた訳でもないこの旅のきっかけを考えてみる。

しかし、考えれば考える程、旅に出た理由がわからなくなる。
日本を離れて一人で旅をし、色々と考えてみたかったのも事実だが、本当にそれだけだったのか?と、疑問を抱き始めたりもする。

 人生の夏休みだなんて呑気な事を言ってもみたが、そうでもないような気がしてしまう。 


目的地や旅の大義名分がないので、いったん一つの場所が居心地が良いと、長居してしまう。
長居してその土地に慣れてくるとすることもなくなる。


だったら、日本に帰るという選択肢もあるではないかとも思うが、そうはしたくない。 
そんな事を考えていると、自分の中にある方位磁石がくるくると回るだけで、目的地がまるで分からなくなった。



 しかし、明日にはベトナムのビザが切れてしまうので、ベトナムを離れてカンボジアへ行く事だけは決まっている。 
 

 

今日、気分転換も兼ねて床屋に行った。ひげ剃り・耳掻き・散髪を含めて15000ドン。

おおよそ100円を超えるくらいだろうか。僕と同い年の床屋の男が少し英語が出来るので、散髪が終った後、近くのコーヒースタンドでコーヒーを頼み、それを飲みながら色々と語った。


 日本人はお金持ちだ。ベトナム人はみな貧しい。君がいくらお金を沢山持っていないとしても、僕らよりは持っているはずだろ?そう問われた。

確かにそうだ。

しかし、彼はそれを批判的に語るわけでもなく、ベトナムや日本の物価について冗談を交えつつ話した。 


中国の陽朔で散々一緒に遊んでいた少年たちの事を思い出した。
彼らも貧しく、旅行者の置いて行ったタイやさまざまな国のガイドブックを見て、国外への旅行を夢みていた事を。


 床屋の男もコーヒーを飲み笑いながら、 「僕らに国外へ旅行する金なんてある訳が無いんだよ」 、と言った。

 ぼんやりバイクの往来を眺めていると、少しだけ大義名分が出来たような気がした。

彼らとはE-mailアドレスを交換していたので、僕が訪れた町々の写真を解説とともに送れば、少しは彼らに「外国」という物の雰囲気を伝えられるのではないか?と。


 別に彼らだけではない。日本に居る家族や仲間たちに対してもそう思った。


仕事やさまざまな理由で日本を離れることが出来ない人に対しても、帰国してから写真とともに様々な体験を語れば何とか僕の見た物が、伝えられるのではないかとも。見た物を伝えるだけでなく、自分自身も何かを得る事の出来る旅にしたいとも。 


人の為に旅をしてる訳でもない。帰ってから旅の話を聞かせる為だけでもない。
だけど自分の中に目的やゴールがはっきりしていない分、今は進めるだけ前に進んでみようと思えた。


どんどん進めばもっと色々な物を見ることが出来るのでは?と。どこが旅の終わりか、自然と決まってくるのでは?と。


 いろんな物事を途中で放り出して旅に出た。



逃げるようにして旅に出た。勝手な僕に対し、快く思わない人も居ただろう。 



でも、すべてを承知でこんな事をメールで言ってくれた仲間もいる。 「有意義な我が儘を!」、と。 

かなり安く泊まれたニャチャンの宿

トイレ・シャワー室も綺麗 ベトナムの宿は綺麗に手入れされている所が多かった気がする

宿のフロント おかみさんと娘なのか、よくここでだらだらしていた

ベトナムコーヒー庶民派スタイル

子供がレゴで遊んでいたので混ぜてもらった

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